口腔衛生学会雑誌
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原著
小学生における口唇閉鎖力の年齢による変化と関連要因についての研究
諏訪間 加奈野上 有紀子葭原 明弘
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2022 年 72 巻 2 号 p. 92-99

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抄録

 本研究の目的は小学生における口唇閉鎖力の年齢による変化を示すともに,口唇閉鎖力に影響を与える要因を明らかにすることである.新潟県内Y小学校に通う1年生から6年生の328名(男児167名,女児161名)についてアンケート調査(同意率80.8%)および口唇閉鎖力の測定を実施した.小学生における口唇閉鎖力の年齢による変化を示すために,年齢による口唇閉鎖力の推移を比較した.さらに,9歳未満と9歳以上の2群に分け,各群における口唇閉鎖力4分位群による対象者の特性について比較し,関連する要因についても検討を加えた.

 その結果,本研究の対象者における口唇閉鎖力は増齢とともに緩やかな増加がみられた.口唇閉鎖力4分位と対象者の特性との関連について,9歳未満では現在歯数,いびきの有無との関連がみられた(オッズ比[95%信頼区間]=1.28[1.01–1.56],0.45[0.24–0.84]).9歳以上の群では,年齢,ローレル指数との関連がみられた(1.45[1.09–1.93],6.02[2.21–16.39]).

 結論として,小学生における口唇閉鎖力について9歳前後で口唇閉鎖力に影響する要因が異なることが考えられた.口唇閉鎖力の増加に影響する要因として,9歳未満の対象者では現在歯数が,また,9歳以上の対象者では,年齢,肥満との関連がみられた.口唇閉鎖力が低値であることに影響する要因として,9歳未満でいびきと関連していた.

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© 2022 一般社団法人 口腔衛生学会
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