口腔衛生学会雑誌
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原著
改良DOMACを含むガムの咀嚼が舌の衛生状態や心理的要因に及ぼす効果 ─プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験─
東 哲司岩井 浩明米永 崇利笹井 保之松川 泰治加藤 梨那徳竹 宏保カムソコ 優子友藤 孝明
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キーワード: ガム, 口腔衛生, 心理的要因
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2024 年 74 巻 4 号 p. 265-273

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抄録

 改良DOMACは,口腔衛生の保持増進を目的として開発された素材である.本研究では,口腔内環境に問題を自覚している者のうち舌苔中の細菌数を一定以上認める者を対象に,改良DOMACを含むガムの咀嚼による舌の衛生状態や心理的要因の変化を検討することを目的とした.舌苔中の細菌数が1.00×107CFU/mL以上である被験者55名(男性30名,女性25名)を対照群と処置群の2群に分け,対照食品(改良DOMACを含まないガム)もしくは被験食品(改良DOMACを含むガム)を1日2回(2粒/回)の頻度で4週間摂取させた.その結果,処置群の舌苔中の細菌数は,試験開始時と比べて4週後で有意な減少を示し(p<0.01),対照群の値よりも有意に低くなった(p<0.05).Tongue Coating Indexについても,対照群の値は4週後に有意差がなかったが,処置群の値は4週後に有意に減少した(p<0.05).また,口腔の不快感に関するアンケートについて,どちらの群も,試験開始時と比べて4週後に肯定的な回答の割合が有意に増加したが(p<0.01),群間に有意差はなかった.さらに,心理的要因についても,対照群と処置群の双方ともに,4週後に否定的な気分状態は改善していた(p<0.05).そして,対照群と処置群との比較では,4週後の「抑うつ-落ち込み」の項目について有意差を認めた(p<0.05).本研究の結果は,改良DOMACを含むガムの咀嚼には,舌苔中の細菌数を一定以上認める者の細菌数を減少させ,さらに否定的な心理状態を緩和させる効果があることを示唆している.

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© 2024 一般社団法人 口腔衛生学会
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