口腔衛生学会雑誌
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フッ素イオン電極法の衛生学的応用 (F Series NO. 14)
第3報酸蝕法 (生検法) による表層琺瑯質の溶解量とフッ素量特に局所フッ素塗布剤との関連について
近藤 武
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1970 年 20 巻 2 号 p. 173-179

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抄録

琺瑯質の生検法 (Enamel Biopsy) を行い表層琺瑯質中のF, Ca量を測定することにより, フッ化物局所塗布効果などの点につき検討を行つた。生検法は酸侵蝕法により, 2M-HClO4, 5μlを含有せる直径5mmの円形濾紙を前歯部唇面のほぼ中央部に貼布し溶出してくるF, Ca量を定量した。Fの定量はフッ素電極法により, 溶出してくるFは非常に少量なので, 低濃度での定量性を考慮しpH4.7の微酸性下で定量を行つた。この条件で0.02ppmは前後まで測定可能であり, 少量液用の容器を使用すると0.04μgの超微量まで測定することができた。またCaの定量は原子吸光分析法により行い, このCa量より溶出琺瑯質量を換算した。
まず都内の幼稚園児を対象として, 乳歯の表層琺瑯質中のFを定量し, また各年齢層の被検者の永久歯表層の量を測定した。この結果, 両者間には著しい差は認められず, 個人差が著しいので増年齢的な濃度差を認めることはできなかつた。
抜去歯の前歯唇面を区劃することにより同一条件下でいろいろな局所塗布剤のF沈着量などについて実験を行つた。その結果燐酸々性2%フッ化ナトリウム溶液がF沈着量が最大, 溶出するCa量が少なく酸に対する抵抗性が大であることが判明した。

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