口腔衛生学会雑誌
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Cadmium汚染地区における歯牙中Cadmiumについて
岩倉 政城
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1972 年 22 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
人体がCadmium (以下Cdと略) を摂取する時, 歯牙硬組織中にCdが蓄積されるか否かを検討し, あわせて, その疫学的意義を知るためCd汚染地区である富山県婦負郡婦中町のイタイイタイ病 (以下イ病と略) 発生地区周辺で得られたヒト永久歯のエナメル質及び象牙質中のCdの定量を行なつた。対照地区としては非汚染地区である東京で得られた歯牙を用いて検討した。
対照地区エナメル質は0ppmから0.22ppm, 平均0.135ppmの値を得, イ病発生地区歯牙は0.01ppmから0.63ppm, 平均0.252ppmとなり, 対照のほぼ1.87倍の蓄積が認められた。エナメル質と象牙質に含まれるCd量は対照地区では差はないが, 患者発生地区の象牙質ではエナメル質より高く, 平均0.404ppmを示し, 対照地区の象牙質中Cd濃度の4.1倍の蓄積が認められた。
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