口腔衛生学会雑誌
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乳歯齲蝕の疫学調査に関する統計的研究
山田 紘充
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1972 年 22 巻 1 号 p. 10-37

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抄録
幼児期は乳歯齲蝕の多発する時期であるがその予防対策を樹立するには, きめの細かい疫学的調査が必要である。そこで, 東京都内の幼児4,016名を対象とし, その幼児を1年は3ヵ月, 2, 3, 4年は4ヵ月, 5年は6ヵ月の間隔の各群とした。ついでその各群の統計値として所有者率, 一人平均歯数, 所有歯率, 一人平均歯面数, 所有歯面率および歯牙種類別の所有歯率を求め, その年月齢的な推移を観察したところ, まずdf統計値はいずれも増年齢的に増加するが, 各統計値によつて特有の増加傾向を認めた。ついで一般dfの各統計値の相互間, 各歯牙種類別df統計値の相互間および一般dfの各統計値と各歯牙種類別の相互間の関連性について検討したところ, いずれも高度に有意な相関関係が認められた。また一般dfの各統計値について因子分析を行なつたところ, いずれも回転後の共通性が近い値を示していた。df所有者率と他の各df統計値との関係をlog Y=α+βXの回帰方程式であらわし, その有意性を検定したところ, いずれの回帰方程式も高度に有意であつた。
したがって, 各種齲蝕間には自然法則があることが認められ, かつ複雑な各齲蝕統計値の算出を簡易化する指針を得た。
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