抄録
社会経済的に等しい山形大蔵村と鮭川村の小学児童各335名と315名にNaF歯磨剤とプラセボを1年間使用し, 齲蝕予防効果を推定した。両村学童の実験前齲蝕罹患率は実験村大蔵で1.90DMFTと69.9%有病者率, 対照村鮭川で1.98DMFTと69.5%有病者率であった。実験歯磨剤はNaFを0.2%, 合成ゼオライトを45.0%含むものである。そのフッ素イオン活性は40℃に保存したとき製造直後降下するが, その後は安定で60日後で78%の活性を示した。学童は1日2回歯を磨き, 1年間に増加した齲窩から抑制率平滑面で38.0%, 小窩裂溝で11.9%を得た。これらの値はそれぞれ0.1%及び5%の水準で統計的に有意であった。