1975 年 25 巻 4 号 p. 306-321
学校歯科衛生において, 歯の管理には齲蝕ならびにその処置状態を集団的に把握し, 問題点を見出すことが重要である。そこで, 昭和44年度に, 神奈川県全域で小学校, 中学校の児童・生徒総計458,040名を対象に観察を行った。その結果, 1. 小学校児童のDMF者率では全体的にみて高学年ほど高率であり, また女子は男子より高率であった。中学校生徒の場合も, 女子は男子より高率であった。2. 小学校児童の1人平均DMF歯数も全体的に低学年より高学年に向かって直線的増加傾向を示し, 女子は男子より, また市部は郡部より多い。中学校生徒では, 女子は男子より, また郡部は市部より多い。3. 小学校児童の処置歯率では全体的に学年の進むにともない4学年生まで急な上昇を示し, それ以後の上昇はきわめてゆるやかであった。中学校生徒の場合は女子は, 男子より, また市部は郡部より高率を示した。4. 小学校児童の未処置者率は, 全体的に学年の進むにともない上昇するが, 3学年生までは急上昇し, その後はゆるやかな上昇傾向を示し, 中学校生徒の場合も全体的な学年毎の上昇傾向は変らず, また郡部は市部より高率であった。