口腔衛生学会雑誌
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大阪府における森永砒素ミルク中毒被害児の歯科検診結果
小西 浩二原 一弘神原 正樹脇 勉西田 英和葛下 芳成稗田 豊治親里 嘉建
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1977 年 27 巻 2 号 p. 69-77

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抄録
大阪府における森永砒素ミルク中毒被害児の精密検診の一環として, 歯科領域における被害の実態を把握するため, 大阪府下に在住する森永砒素ミルク飲用確認患者430名のうち昭和49年5月に本学附属病院に来院した83名に対し, 歯科精密検診を行った。
診査内容は, 1. 問診による診査, 2. 臨床的診査a. 齲蝕罹患状態b. 歯の形態, 萌出状態 (歯数と位置) および歯質の状態c. 歯肉の状態, 3. 模型による診査a. 咬合状態 (Angleの分類) b. 歯列弓外形 (大坪の計測方法), 4. パノラマX線写真と口腔内写真についてである。
その結果, DMF者率は97.59%, 歯肉炎罹患者率は41.46%であった。また, 歯質の異常出現率は37.75%と高率を示した。 とくに, 歯質異常の発現部位別には, 上顎前歯部に最も多く, ついで小臼歯部, 大臼歯部の順で, 歯の石灰化時期とミルク飲用時期との関係などから, 興味ある結果を得た。
歯肉のメラニン色素沈着者は, 50.06%に認められ, そのうち歯肉以外の体表色素沈着のある者は, 71.43%であった。
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