口腔衛生学会雑誌
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象牙質におよぼすFluoride Varnishの影響について
新海 研志
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1979 年 29 巻 2 号 p. 134-144

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抄録

Fluoride Varnishの象牙質におよぼす影響について検索する目的で, 新鮮抜去大臼歯を材料とし, in vitroでFluoride VarnishおよびControl Varnish塗布実験を行い, 化学分析ならびにX線マイクロアナライザ分析によりフッ素取込み量の測定と酸溶解性試験を行った。
Varnishは5% NaF Varnishと2% NaF Varnishを用い, Control Varnishは成分からNaFを除いたものを用いた。塗布実験は1回塗布の1, 3, 5, 7日間作用と週2回塗布にて1, 2週間作用とした。
象牙質に取込まれたフッ素量については, window methodにより表層から内層までのフッ素量をイオン電極法を用いて測定した。また, X線マイクロアナライザによる線分析と面分析を行い, フッ素の分布状態を調べた。酸溶解性試験はwindow methodにより0.4M酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液 (pH4.0) で連続脱灰し, 溶出するカルシウム量を比色定量することにより行った。
その結果Fluoride Varnish塗布により象牙質のフッ素量が増加した。フッ素は象牙質表層において高い濃度を示し, 内層70~100μmまで浸透することが認められた。Fluoride Varnishの作用回数が多く, 作用期間の長い程フッ素取込み量は増加した。酸溶解性試験ではFluoride Varnish作用群の方が明らかに酸抵抗性を示し, フッ素取込み量の多い程酸溶解性は低くControl Varnish作用群に比較して2~6倍の酸抵抗性獲得が認められた。

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