口腔衛生学会雑誌
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GP発振Nd-YAGレーザー照射によるヒトの歯質温度上昇と歯髄の感覚応答
森岡 俊夫森田 恵美子鈴木 和雄
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1982 年 31 巻 5 号 p. 442-448

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抄録

GP発振のNd-YAGレーザーをヒトの生活歯に照射するとどのような歯髄反応や自覚症状が現われるかを, 2名の被検者について検討した。予備実験として, ヒト抜去歯牙を用いてNd-YAGレーザーを歯面へ照射した時の歯髄腔内および歯牙表面での温度上昇値を測定し, この値を基にin vivoでの照射量が設定された。
ヒト抜去歯牙を用いたin vitroの実験で, Nd-YAGレーザー (照射エネルギー密度10.83J/cm2/pulse) 照射により惹き起こされた歯髄腔側壁の温度上昇値は, 大臼歯群で2.34±2.00℃, 前歯群で8.32±3.35℃であった。また, 歯牙表面での温度上昇値は照射中心より1mmの点で7.4~9.0℃であった。
つぎに, 被検者の生活歯についての照射実験では, 自覚症状発生の閾値に個人間および歯牙間でばらつきはあったが, エネルギー密度10.83J/cm2/pulse以下では不快症状の発生は認められなかった。
また, レーザー照射と同時に行なわれた臨床的歯髄診査 (視診, 打診, 温度診および電気診) から, レーザー照射をうけた全歯牙について照射による異常は認められなかった。

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