1985 年 35 巻 1 号 p. 2-7
Streptcoccus mutans NCTC 10449株より抽出した菌体表層成分を免疫原として用い, そのう蝕予防効果についてハムスターを用いて実験を行なった。免疫には水酸化アルミニウムをアジュバントとして, 離乳前に2回頬嚢部の皮下に接種を行なった。免疫を受けたハムスターには, S. mutans NCTC 10449株を口腔内に投与したにもかかわらず, 対照群に比べて臼歯部のう蝕発生はほとんど認められなかった。このう蝕予防効果は, S. mutansの歯面への付着抑制に基くもののように思われた。今回得られた実験結果から, 菌体表層成分が, う蝕予防のための効果的な免疫原となり得る可能性が示唆された。