口腔衛生学会雑誌
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ヒト歯肉溝由来のBacteroides melaninogenicus ATCC15930株の培養液中のノイラミニダーゼの分離精製とその性質
竹下 哲生岩倉 功子高垣 勝柴田 聡明雫石 聰常光 旭
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1985 年 35 巻 5 号 p. 713-720

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抄録

歯肉溝浸出液やプラーク中に存在する口腔細菌由来のノイラミニダーゼの病因的役割を明らかにする目的で, ヒト歯肉溝由来の嫌気性菌Bacteroides melaninogenicus ATCC 15930株の培養液中に存在するノイラミニダーゼの分離精製を行ない, その物理化学的な性質の一端を明らかにした。
同菌株の培養液を遠心操作により上清を分離し, 限外ろ過による分子量50K以上の画分を濃縮したものを粗標品とした (比活性2.85×10-3unit/mg protein)。粗標品を, DEAE-Sephacelによるイオン交換法, 次いでMono Pカラムを用いた等電点分画を行ない, さらに得られた活性画分をShim-pack Diol-300カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにてゲルろ過を行ない, 精製標品を得た。精製標品の比活性は, 5.31unit/mg Proteinであり, その精製度は粗標品に対して1863倍精製された。またG4000SWカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより分子量は約83Kと推定され, SDSを含むポリアクリルアミドディスク電気泳動 (SDS-PAGE) では, 約46Kの単一バンドが得られた。等電点は5.1であり, 酵素活性の至適pHは4.8であった。イオン強度による影響は, 酢酸-酢酸ナトリウム塩緩衝液0.2モル以上の濃度で活性の著しい低下がみられ, 熱に対しては50℃, 10分以上の条件下で活性が失われた。

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