1987 年 37 巻 5 号 p. 620-624
鹿児島県長島の高校生218名を対象として, DMF, CPITN, およびアンケート調査を行なった。この調査の目的は, 高校生自身が過去にブラッシング習慣をどのようにして獲得したか, それをどのように認識し実行しているかを知ることであった。毎日歯を磨く, または夜寝る前に歯を磨くと回答した者は, そうでない者に対し未処置齲歯数 (D歯数) が有意 (p<0.05) に少なかった。しかし, 一人平均DMF歯数には差が認められなかった。毎日歯を磨くと回答した者は, そうでない者より歯周疾患有病者率, 有病部位数が低い (少ない) 傾向にあった。齲蝕と歯周疾患のいずれも, 小学校のみでブラッシング指導を受けた者と, 小・中学校を通じて指導を受けた者とに差はなかった。また, 歯科疾患の予防にブラッシングが重要であると認識している者は70-80%認められたが, ブラッシング指導を受けたいと回答した者は38%にすぎなかった。この結果は, 学校歯科保健指導の難しさを端的に表わしており, 現在の学校歯科保健活動の根本的改革の必要性が示唆された。