口腔衛生学会雑誌
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ヒト唾液中に含まれるMetabolic factorについて
浜田 節男川崎 徹
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1987 年 37 巻 5 号 p. 637-644

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抄録

ヒト混合唾液遠沈上清中に含まれるMetabolic factorの性状について検討した。Metabolic factorの解糖作用の活性測定は従来のWarburg検圧計に代り, 試験管法で基質にグルコースを用いて, グルコース量をグルコース・オキシダーゼ法で測定した。遠心分離したヒト唾液上清をセロファンチューブで透析して得られた透析外液を, セファデックスG-25でゲルろ過し, Fr. I-IVの4画分を得た。Fr. II, IIIはニンヒドリン反応陽性を示す画分である。各画分単独ではFr. IIが高い解糖作用を示し, ついでFr. IIIであった。Fr. I, Fr. IVの解糖作用は認められなかった。各画分の組み合わせでは, Fr. II+III, II+IVの場合はFr. II単独よりも高い解糖作用を示した。Fr. II+IIIはFr. I-IVmix. の成績と同程度の解糖作用を示した。Fr. I+II, I+III, I+IV, III+IVの組み合わせでは相加作用は認められなかった。Metabolic factorはFr. II, IIIに含まれ, Fr. IIは解糖作用の主体である。Fr. IIIはFr. IIに対して補助的な役割りをしていた。Fr. II, IIIのニンヒドリン反応陽性画分を, イオン交換樹脂で再分画してアミノ酸分析したところ, 主にプロリン, グリシン, グルタミン酸, アルギニンが含まれていた。

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