抄録
わが国では,新生児領域で使用される医薬品の約8割は新生児に対する用法・用量の記載が添付文書にない。今回,予防薬についての記載がされていない多くの薬品の中から,新生児・小児領域で日常的によく使用されているビタミンK製剤に関して調査した。新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤の予防投与のエビデンスを調査し,2007年日本医薬品集におけるビタミンKの本邦での記載と,諸外国(米,英,独,仏)の添付文書記載との比較を行った。新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤の予防投与について,諸外国では,大規模なRandomized control study(RCT)が数多く行われており,十分なエビデンスが得られていた。本邦では,RCTは行われていないが,全国調査にて,厚生省(現厚生労働省)によるビタミンK予防投与勧奨以後,新生児乳児ビタミンK欠乏性出血症の発症報告が大幅に減少したという調査結果が出されている。添付文書の記載については,米,英,独,仏4ヵ国ともに明確な記載がされていた。以上のことより,新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤の予防投与について,国内外で十分なエビデンスが得られており,諸外国における新生児乳児ビタミン欠乏性出血症の予防に対するビタミンK投与の記載は明確であった。現在1999~2004年の全国調査を踏まえ「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与のガイドライン」が作成されつつあり,本邦での有用性も明らかとなっている。今後これらを加味したビタミンKの新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症予防に対する予防投与の添付文書への記載が必要であると思われた。