抄録
抗菌薬は新生児の感染症治療において必須であり,重症新生児を管理すればするほど,また感染症を危惧すればするほどその使用頻度は増加する。一方,適正な抗菌薬の使用が耐性菌獲得や院内感染,医療経済の点からも臨床現場に求められている。そこで今回我々は,適正な抗菌薬投与を行えているかを検討することを目的として,平成17年1月~平成19年12月の3年間における当院総合周産期母子医療センター新生児集中治療室(NICU)における抗菌薬使用の実態を調査したところ,入院数が右肩上がりに増加するにもかかわらず,使用頻度には減少傾向がみられた。入院児の重症度など他の因子の関与を考慮する必要があるが,平成17年度より安易な抗菌薬の予防投与の中止を病棟全体で心がけたことが大きな要因と思われた。特に感染症ハイリスク児には全例抗菌薬投与を行っていた方針を変更し,ハイリスク児であっても詳細な母体情報の収集,経時的な児の臨床症状の推移,CRP等炎症反応の変化を注意深く検討した上で総合的に抗菌薬の投与を個々の児において判定するようになったことも重要であった。今回のような一面的な検討のみでは一概に抗菌薬使用の是非を述べることはできないが,こうした調査を通じて抗菌薬使用の適正化を図る意識を高める取り組みが大切であると思われた。