抄録
本研究において,我々は肝臓による薬物代謝産物の発生毒性を検討するため、セルカルチャーインサートを用いてES細胞とヒト肝臓癌由来細胞株HepG2細胞あるいはヒト繊維芽細胞株WI-38細胞を非接触共培養する試験法(Hep-EST法)を構築した。Hep-EST法によるバルプロ酸(VPA)の細胞毒性を評価した結果,WI-38細胞との共培養に比べHepG2細胞との共培養においてVPAのES細胞に対する細胞毒性の増悪がみられた。また,ES細胞に対するVPAの未分化マーカー発現誘導効果はHepG2細胞との共培養により抑制され,一方でHepG2細胞との共培養により中胚葉マーカー発現が上昇した。これらの結果から,HepG2細胞により代謝されたVPAの活性中間代謝産物によりES細胞への毒性が増し,またVPAのES細胞分化に与える影響が変化したと考えられ,Hep-EST法により薬物肝代謝産物を考慮した発生毒性の評価が可能であることが示された。