抄録
小児における向精神薬の治験を阻害する要因を明らかにするために質問紙調査を実施し,その結果を踏まえて,本領域における治験を推進するための方策について検討した。対象は平成23年9月1日に日本小児心身医学会に所属した医師741名である。方法は無記名自記式質問紙を郵送し、同封の切手つき封筒で回収した(回答率20.4%,有効回答数144)。回答者のうち,小児の向精神薬治験参加経験のある者は25.0%,治験に参加したいと回答した者は22.2%であった。向精神薬治験経験者では経験のない者より,治験に参加したいという回答が多かった。実施可能な治験について,プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験は7.6%,オープン試験は35.4%であった。小児治験の障壁となること・困難なことは,採血回数が増える,来院回数と手続きが増える,プラセボが振り当てられることなどがあげられた。また自由記述から,治験は必要と考えるものの,実施は治験コーディネーターなどの人的資源の不足や施設の特性により困難であることがうかがわれた。今後,小児への向精神薬の治験を推進するためには,向精神薬治験に関する知識の普及,患者・担当医の負担の少ない治験計画,治験コーディネーターの派遣や負担軽減費の検討が必要と考えられた。