抄録
【緒言】これまで小児にフェンタニルバッカル錠を投与した報告はない。今回,神経芽腫患児にフェンタニルバッカル錠を投与し奏功した症例を経験したので報告する。【症例】3歳,多発転移を伴う治療抵抗性神経芽腫。家族には治癒を目指すことが困難になった患児とできる限り自宅で過ごしたい意向があり,夜間のみの在宅療養を開始した。患児は白色散剤や白色錠剤は服用できるが,水剤・坐剤や色付き散剤の使用が困難であった。患児が痛みを訴え,フェンタニル貼付剤を開始し,疼痛緩和したが,突出痛を訴えた。レスキューとしてフェンタニルバッカル50µg錠を1回1/4錠(12.5µg/回)開始し,速やかに疼痛緩和でき,患児と家族との時間確保ができた。【考察】フェンタニルバッカル錠の小児への投与は使用経験がないため安全性が確立していない。今回,薬剤師が介入し,患児と家族との時間確保を目的に突出痛に対し,フェンタニルバッカル錠1µg/kg/回を投与し,疼痛を緩和した。医療従事者との情報を共有し家族ケアを行った結果と考える。しかしAST<200IU/L,ALT<100IU/Lと肝機能障害が進行し,腎機能はCr-eGFR13mL/min/1.73㎡前後でどの程度フェンタニルが吸収,代謝,排泄されるのか判断に苦慮したが,副作用のひとつである呼吸抑制を観察することで疼痛緩和できたと考える。