抄録
基質拡張型βラクタマーゼ(Extended-spectrum-β-lactamase: ESBL)産生大腸菌による尿路感染症が成人のみならず,小児においても増加している。ESBL産生菌に対する治療にはカルバペネム系抗菌薬が推奨されるが,その頻用はさらなる耐性菌を出現させる可能性がある。今回,ESBL産生大腸菌による上部尿路感染症患児8名から分離された菌株の抗菌薬感受性と酵素型遺伝子を解析した。その結果,治療でカルバペネム系抗菌薬を要したのは8例中1例のみで,一部の非カルバペネム系抗菌薬の感受性も良好であった。ESBL遺伝子は8例中6例でblaCTX-M-14like,2例でblaCTX-M-55が検出された。今回の検討で,小児のESBL産生大腸菌による上部尿路感染症は,非カルバペネム系抗菌薬でも治療可能で,地域や施設によって優位なCTX-M型サブタイプの検出頻度が異なることが示唆された。