抄録
【目的】セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)を内服していた妊婦から出生後の新生児不適応症候群として呼吸障害と離脱症状との発症頻度,危険因子としての薬剤(特に併用薬)の影響について検討する。【対象及び方法】国立病院機構14施設で妊娠第3三半期にSSRI・SNRIを母体が内服していた新生児62名(母体60名)を対象に,出生後の呼吸障害,新生児不適応症候群の発症を主に後方視的に検討した。使用薬剤,併用薬について検討した。酸素投与と新生児薬物離脱症候群で利用されている磯部らのスコアの離脱症状とについて,各種因子についてχ二乗検定,ロジスティック回帰分析で検討した。【結果】新生児62名の母体使用SSRI,SNRIは6剤(セルトラリン:18例,パロキセチン:16例,エスシタロプラム:16例,フルボキサミン:7例,デュロキセチン:6例,ベンラファキシン:1例)で,併用薬(例数)は28種類で,エチゾラム(14例),アルプラゾラム(12例),ブロマゼパム(6例)などベンゾジアゼピン系薬剤とアリピプラゾール(6例)の併用例が多かった。新生児62例のうち新生児の酸素投与例は17例(27%)でそのうち早産児が10例で有意に高率であった(p<0.0001)。吸入酸素濃度を40%以上必要とした例は 正期産児2例で,そのうち1例において心臓超音波検査で先天性心疾患を認めない一過性の右左短絡を認めた。離脱症状を26例(42%)に認めた。男女別では男児の36例中19名(53%),3剤以上の多剤併用の26例中15例(58%)に離脱症状を認め,有意に高率であった(それぞれp=0.04,p=0.027)。【結論】SSRI・SNRIを内服していた妊婦から出生した新生児における呼吸障害は早産の影響,離脱症状は,男児,多剤併用の影響があることが示された。