抄録
【背景】小児の心臓外科の術後管理として筋弛緩薬の持続投与が必要となる場合がある。しかし,筋弛緩薬持続投与の小児における安全性,有効性,投与時間,投与量の妥当性を評価した報告は少ない。そこで,小児心臓外科手術後に用いる筋弛緩薬の使用状況を把握し,今後の適正使用につなげることを目的に実態調査を行った。【方法】2011年1月から2017年3月までに昭和大学横浜市北部病院循環器センターにおいて心臓外科手術を受け,術後に筋弛緩薬が投与された15歳未満の症例を診療録より後方視的に調査した。術後投与された筋弛緩薬,投与方法,持続投与の総投与時間および総投与量などを薬剤ごとに比較した。【結果】全手術症例数973症例のうち,術後に筋弛緩薬が投与された症例は186症例であり,76症例はベクロニウム,110症例はロクロニウムが投与された。対象となるベクロニウム群51症例のうち,持続投与は45症例であった。ロクロニウム群74症例のうち,持続投与は71症例であった。総投与時間は,薬剤間に有意差はなかった。持続投与の総投与量に関しては,ベクロニウム群の中央値は7.4(0.2-79.5)mg/kg,ロクロニウム群の中央値は22.9(0.9-483.9)mg/kgであった。【考察】今回の調査より,小児心臓外科手術後における筋弛緩薬の使用状況を明らかにした。総投与時間に明らかな差はなかった。総投与量に関して,ベクロニウムは標準とされる投与量と比較すると多かったのに対し,ロクロニウムは少なかった。今後は,持続投与の総投与時間および総投与量と,年齢や性別,重症度,合併症などとの関連性に関する検討が必要と考えられる。