抄録
昭和大学病院では,2012年より母乳と薬相談外来を開設し,薬物療法中の母親に適切な情報提供を行うことで母乳育児を希望する母親を支援してきた.ロフラゼプ酸エチルは不安・緊張・抑うつ・睡眠障害に適応をもつ催眠鎮静剤,抗不安剤である.海外での上市はフランス1 ヵ国のみであり,乳汁移行率に関するデータがなく,母乳育児に関しての検討が少ない.今回,ロフラゼプ酸エチルを服用しながら母乳育児を行った5症例において授乳の有無,使用薬剤,児への有害事象について調査した.5症例とも母親の希望や母乳分泌量,育児環境などを考慮し,母乳と人工乳による混合栄養で育児を行った.児は出生後に薬物離脱症候群は認めず,1か月健診では,傾眠,体重増加不良など有害事象は見られなかった.母親は,出産後早期に内服を中止した1例を除いた4例については薬剤を継続しながら育児を行うことができた.児は最長3歳6か月まで発育経過を観察しており,明らかな有害事象は見られなかった.