抄録
早産極低出生体重児(VLBWI)には,強化母乳や低出生体重児用ミルクで栄養強化し体重増加が良好でも低亜鉛血症が多い.今回,この亜鉛欠乏症をきたしやすいVLBWIへの亜鉛補充について,投与開始時期,投与量,その効果などを過去の非投与群を対照に投与群と後方視的に比較検討した.亜鉛非投与群における修正40週時の栄養(母乳,混合,人工乳)には亜鉛値に有意な差がなかったことから,栄養別に投与量を規定する必要はないと考えられた.VLBWIの生後初期には,中心静脈栄養(IVH)での微量元素の補充があり,1か月時には低亜鉛が少なく銅低値が存在した.以上から亜鉛投与開始時期は経腸栄養が確立した生後1か月時以降からでよいと考えられた.今回の投与量は酢酸亜鉛で一律5 mg/日としたが,修正40週時の血中亜鉛値は有意に増加し過剰例や明らかな銅低値例もなく,また高アミラーゼ血症などの副作用もなく治療できた.しかし今回,亜鉛投与による効果を判定することはできなかった.今後はさらに対象症例を増やし,より亜鉛値を増加させた上で,その効果を判定する必要があると考えられた.