抄録
乳糖は製造時に牛乳を用いるため,高度に精製を行っても,乳タンパク質の約0.3%が夾雑物として含まれると報告されている.牛乳アレルギー患者が添加物の乳糖に対してアレルギー反応を呈すことが臨床上問題となっている.今回われわれは,乳糖を使用する際のアレルギー発症のリスク評価法の一助とする目的で,乳糖中に含まれる各種牛乳由来タンパク質の分析法を確立した.市販牛乳または乳糖水和物を水に懸濁した液体に対して還元アルキル化処理を行い,トリプシンでタンパク質を断片化した.分析にはLC-qMS/MSを用いた.牛乳アレルギーの主な原因物質とされているα-S1-casein, α-S2-ca- sein, β-casein, κ-casein, α-lactoalbumin, β-lacto- globulin,serum albuminの7種類のタンパク質について測定系を作成した.乳糖懸濁液を分析した結果,α-S2-caseinが検出されたが,極微量であり,他のペプチドは検出限界以下だった.