抄録
ジスチグミン(ウブレチドⓇ)はコリンエステラーゼ阻害薬であり,重症筋無力症(MG)の治療に使用されるが,小児に対する有効性や安全性,投与量は確立していない.本症例における眼筋型MGの2歳女児は,ピリドスチグミンとプレドニゾロンによる治療効果が不十分であったため,ピリドスチグミンをジスチグミンに変更したところ,症状の改善が見られた.ジスチグミンによる副作用の発現はなかった.小児薬用量は年齢や体重,体表面積,アロメトリー則等で推定する方法が知られているが,ジスチグミンが主に腎排泄であることから,腎機能とGiusti-Hayton法より小児薬用量を推定した.推定した小児薬用量は2 mg以上5 mg未満/日であったが,実際は1 mg/日で開始し,4 mg/日まで増量した.本症例ではジスチグミンを有効かつ安全に投与できた.腎機能からジスチグミンの小児薬用量が推定できる可能性はあるが,今後さらなる検討が必要である.