日本小児臨床薬理学会雑誌
Online ISSN : 2759-9256
Print ISSN : 1342-6753
鉄欠乏性貧血の治療後も続く憤怒けいれんに対して甘麦大棗湯が奏効した1例
中嶋 幸人杉立 玲八木 夏希清水 真理子松井 敦
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 37 巻 1 号 p. 38-41

詳細
抄録
憤怒けいれん(breath-holding spells:BHS)は乳幼児期に発症し,5歳台までに自然治癒する良性の発作性疾患である.しかし,度重なる意識消失やけいれんが両親の不安や抑うつを引き起こすなど,発作が家族に与えるメンタルヘルス上の問題は大きい.BHSの発症には鉄欠乏症および鉄欠乏性貧血が関連しているとされており,BHSの治療として鉄剤内服がしばしば行われるが,鉄剤以外の治療については不明な点が多い.今回われわれは,軽度の鉄欠乏性貧血を背景としたBHSの1歳1ヵ月女児を経験した.鉄剤内服により鉄欠乏性貧血が改善 してもなお意識消失発作が頻発し,時にけいれんを伴っていたが,1歳4ヵ月時より甘麦大棗湯の内服を開始したところ,発作頻度が著明に減少し,かつ発作時の意識消失時間も短縮した.遷延するBHS症例に対して,鉄欠乏状態を治療することのみならず,甘麦大棗湯を併用することで,BHSの発作を抑制しやすくできる可能性がある.
著者関連情報
© 2024 日本小児臨床薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top