2026 年 36 巻 Special_Issue 号 p. s50-s58
ペル及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の生態毒性情報は,残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約の対象物質であるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やペルフルオロオクタン酸(PFOA),近年POPsに追加されたペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)や長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)については蓄積されつつある。一方で,PFOSやPFOAと類似の構造的特徴をもち,1万種類以上あるとされる代替及び新規PFASの生態毒性情報は極めて少ない。水環境はPFASを含めさまざまな化学物質が流入するため,水環境中に生息する水生生物に対する毒性影響やリスク評価は喫緊の課題である。本稿では,小型魚類(ゼブラフィッシュ,ミナミメダカ)を中心に,in vivo試験によるPFASの神経系,免疫系,肝臓・脂質代謝系,甲状腺ホルモン及び生殖系に及ぼす影響と,それぞれの影響メカニズムや遺伝子・タンパク質の発現変化を解析した研究事例を整理した。また,ECOTOXデータベースから抽出された魚類に対する毒性閾値や影響濃度と公共用水域等の指針値を比較するとともに,PFASの生態影響に関する今後の課題と展望について提言した。