環境化学
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総説
PFASの分配・吸着特性に基づく環境動態の理解に向けて
遠藤 智司
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2026 年 36 巻 Special_Issue 号 p. s9-s17

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抄録

ペル及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)はその高い残留性と健康への悪影響の可能性から,大きな環境問題となっている。本稿ではPFASの分配および吸着特性に関する現在の知見を概観し,これらの特性がPFASの環境動態にどのように影響を及ぼすかを論じる。アルキル鎖のペルフルオロ化は分子サイズを増加させるがファン・デル・ワールス相互作用を大きく変化させないため,結果として疎水性を増大させ,凝縮相からの揮発性を高める。またペルフルオロ化は近傍の官能基の電子的性質にも影響を与え,その顕著な帰結の例としてpKaの低下があげられる。一般的な陸域環境において,中性PFASは高い揮発性と水相への分配傾向の低さから,スルホンアミド基のような強い極性官能基を持たない限り,主に大気中に分布すると予測される。一方,イオン性PFASは,大気,土壌,生物相といったコンパートメントにおいて複雑な分配挙動を示す。この挙動は水相および固相の組成に強く影響され,依然としてさらなる研究が求められる。

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