環境化学
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水質試料中のフタル酸エステル類
高橋 保雄小野寺 祐夫森田 昌敏寺尾 良保
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2001 年 11 巻 1 号 p. 27-32

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抄録
水道水, 水道原水である河川水, ミネラルウォーター, 再生紙の浸漬水中のPAE13種類を環境庁の内分泌攪乱物質暫定マニュアル法に従って分析した。
その結果, 調査した水道原水であるTE河川水ではD-n-BPは18件中1件, DEHPは18件中3件検出され, それ以外のPAE類は不検出であった。検出された最高濃度はD-n-BPで0.3μg/l, DEHPで0.4μg/lであった。同様に調査した水道水でも, D-n-BPは15件中5件, DEHPは15件中1件検出され, それ以外のPAE類は不検出であった。検出された最高濃度はD-n-BPで0.7μg/l, DEHPで0.3μg/lであった。
ミネラルウォーターではD-n-BPは15件中2件, DEHPは15件中1件検出され, それ以外のPAE類は不検出であった。検出された最高濃度はD-n-BPで1.5μg/l, DEHPで約13.2μg/lであった。D-n-BP, DEHP汚染の認められたミネラルウォーターを検討したところ, 容器自身からPAEの溶出は認められず, ポリビンの場合には栓自身, ガラス瓶の場合には容器の栓の内側に張り付けてあるフイルムからD-n-BPまたはDEHPが溶出していた。
縦横5cmの9種類の再生紙を精製水 (500ml) に20℃で16時間浸漬した。その結果, 検出されたPAE類はDMP, DEP, D-iso-BP, D-n-BP, BBP, DHPであり, 検出された最高濃度はDMPで0.8μg/l, DEPで2.0μg/l, D-iso-BPで4.0μg/l, D-n-BPで59.6μg/l, BBPで0.6μg/l, DHPで3.8μg/2であった。それ以外のPAE類は不検出であった。浸漬水中には, 水道水, 河川水及びミネラルウォーター中から検出されていないPAE類が検出されていた。
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© 日本環境化学会
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