抄録
淡水産植物プランクトンの増殖阻害試験によって, 塩素, 二酸化塩素, オゾン, およびUV照射の各種消毒下水処理水の毒性について調べた。消毒処理水の毒性は高い順に, 塩素≫二酸化塩素>オゾンであった。一方, UVでは藻類に対する影響は全く認められなかった。塩素消毒では, 注入した塩素量の約50%が酸化性物質として残留し, その約80%がモノクロラミン (NH2Cl) であった。このNH2Clが藻類の増殖を著しく阻害する原因物質であった。二酸化塩素では, 増殖阻害が認められなかった場合においても, クロロフィル生合成を阻害する可能性が示唆された。増殖阻害試験の結果から判断すると, 下水処理水の消毒プロセスは, UV消毒法が最も適当である。