抄録
松山平野における各種底質 (沿岸, 河川, 湖沼) 中のPCDD/Fsを分析した。その結果, 上流から下流にかけてPCDD/Fs濃度が高くなり, さらに沿岸底質においてPCDD/Fs濃度が最も高くなるという傾向が見られた。また異性体組成から, 燃焼・焼却過程由来のPCDD/Fsは松山平野に広く分布し, 水田地帯付近を流れる河川ではCNPおよびPCP中の不純物のPCDD/Fsの影響が大きいことが予想された。また, 底質コア中PCDD/Fs分布から推定年代1966年からPCDD/Fs濃度が急激に上昇しているが, 推定年代1986年以後濃度が減少していることが明らかになった。
河口域底質におけるPCDD/Fsの堆積フラックスを求め, 水中におけるPCDD/Fsの沈積速度を算出した。その結果, 重信川河口付近へ大気から直接のPCDD/Fs降下よりも, 流域からPCDD/Fsが河川へ流入し水底へ堆積する負荷量が大きいことが推察された。