環境化学
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大気浮遊粒子中の1-ニトロピレンおよび多環芳香族炭化水素の粒径分布および季節変化
川中 洋平王 寧尹 順子坂本 和彦
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2002 年 12 巻 3 号 p. 599-607

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抄録
アンダーセンハイボリュームエアサンプラーで分級捕集した大気浮遊粒子について, 1-ニトロピレン (1-NP) および9種の多環芳香族炭化水素 (PAHs) を測定し, それらの粒径分布および季節変動を調べた。調査は2001年7~8月 (夏季) と2002年1~2月 (冬季) に, それぞれ3週間ずつおこなった。1-NPの定量には液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法 (LC/MS/MS) を, PAHsの定量にはガスクロマトグラフィー/質量分析法 (GC/MS) を用いた。1-NPの大気中濃度は夏季に4.17pg/m3, 冬季に30.2pg/m3と冬季に7倍程度高濃度であった。PAHsについては, PAHs総濃度で夏季に1.44ng/m3, 冬季に5.27ng/m3と1-NP同様に冬季に高濃度になる傾向が見られた。一方, これらの物質の粒径分布は夏季と冬季で大きな違いはなく, 1-NPについては夏季および冬季ともにおよそ80%が, PAHsについては夏季に70%, 冬季に80%近くが, 肺胞領域への沈着率が高い粒径1.1μm以下の微小粒子中に存在していることが明らかになった。
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© 日本環境化学会
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