環境化学
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松葉を指標とした20年間における石川県の放射性核種濃度の変遷と移行経路に関する研究
小森 正樹中村 嘉利内田 賢吾泉 善博
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2002 年 12 巻 4 号 p. 809-815

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抄録
20年間にわたる石川県における松葉中の放射性核種濃度の時間変化を示しながら, その時々に存在した量の由来について検討し, 10年ごとの変化から放射性核種の移行過程と外因的要因との関係を検討した。その結果, 松葉における天然核種の40Kの濃縮係数は土壌濃度と反比例の関係を示し, 137Csも同様な傾向を示した。この関係から137Cs全量のうち経根吸収分を除いた分を大気からの沈着分として, また7Beは短半減期のため検出されるほとんどが大気からの沈着分と考え, それぞれの移行速度を推定して沈着速度と比較した。その結果, 一般に認められた降水に対する粉塵の沈着速度よりはやや小さいもののオーダー的に同程度の値を示した。従来, 測定や観測が不可能に近い137Csの松葉の吸収が時間の大幅な経過やそれに伴う環境状況の変化から観測可能になり, 137Csに関する移行係数や移行速度や7Beの移行速度が推定可能となった。
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© 日本環境化学会
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