環境化学
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廃棄物埋立地浸出水および処理水中の無機成分, ジオキサン, フェノール類およびフタル酸エステル類の濃度
行谷 義治鈴木 茂安原 昭夫毛利 紫乃山田 正人井上 雄三
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2002 年 12 巻 4 号 p. 817-827

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抄録

国内3カ所の管理型産業廃棄物埋立処分場から採取した浸出水原水5試料とその処理水3試料について, 無機成分, 1, 4-ジオキサン, フェノール類, フタル酸エステル類の濃度を測定した。常時検出された無機元素はナトリウム, カリウムなど10元素であった。モル濃度での存在比率を調べると, 主成分はナトリウムで, 副成分はカリウムとカルシウム・マグネシウムであり, これら3群の存在比率は浸出水原水・処理水の別なく, 同一処分場ではひじょうに類似しているが, 処分場間では異なっていることが示された。無機イオンでは塩化物イオンが高濃度で, アンモニアイオンが高頻度で検出された。イオンバランスを調べた結果, 2カ所の処分場からの試料では陰イオンと陽イオンのバランスが合っていたが, 1カ所の処分場の試料では陽イオンが多くなっていた。1, 4-ジオキサンは全試料から検出され, 1試料ではmg/4の濃度レベルにも達していた。起源については不明である。フェノール類では, 浸出水原水中からビスフェノールAが高濃度で検出された場合もあるが, 処理水では除去されていた。フタル酸エステル類は浸出水からはほとんど検出されず, 検出されても低濃度であった。

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