抄録
炭素鋼板, 青銅板, アルミニウム合金板, 銅板および鉛板について, 富山県で実際に降っている酸性雨による溶出試験を行った。
・各種金属板とも各含有成分の積算溶出量と日数の間には, ほとんどの成分は原点を通る直線回帰が成立したが, Si, MgおよびPbは原点を通る直線回帰が成立しなかった。
・金属板接触後のイオン濃度は, 雨水中のイオン濃度とは異なっていた。両者に違いがないかt-検定を行ったところ, 多くのイオンに有意差があった。接触後のイオン濃度は, 金属板表面で化学反応又は腐食生成物に取り込まれていることが推定された。
・環境因子を解明するために, 月別の各金属溶出量と, 環境腐食因子との関係について重回帰分析を行った。その結果, 寄与率の高い項目は降水量およびpHであった。