抄録
CMIP5に提出されたMIROC5の最新の海面水位データを用いて,気候変動に伴う2031~2050年(近未来)および2081~2100年(将来)の20年平均の海面上昇量予測値に対する全国の砂浜侵食予測を行った.日本沿岸では,RCP8.5のときに海面上昇量が0.3m程度であったが,それ以外のRCPシナリオではいずれも0.2m程度であった.これを反映して,日本全国の砂浜侵食量は,RCP8.5では80~180km2程度,それ以外のシナリオでは60~130km2程度と予測された.いずれのシナリオにおいても,近未来と比して将来は侵食が加速する結果となった.底質粒径による砂浜侵食量予測の不確実性幅は,RCPシナリオによる不確実性幅と比べて大きく,また,その他の要因により,海面上昇量が大きくなるにつれて不確実性が増大する可能性があることが示唆された.