環境化学
Online ISSN : 1882-5818
Print ISSN : 0917-2408
ISSN-L : 0917-2408
産業廃棄物焼却実験における多環芳香族炭化水素 (PAHs) からのPCDDs/DFs生成の検討
米田 健一舟川 将史中井 智司細見 正明池口 孝
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 14 巻 3 号 p. 531-543

詳細
抄録
産業廃棄物焼却におけるダイオキシン類 (PCDDs/DFs) の生成機構を検討するため, パイロットスケールでの産業廃棄物の焼却炉実験を行った。その結果, ポリクロロジベンゾフラン (PCDFs) 濃度はポリクロロジベンゾーパラージオキシン (PCDDs) 濃度の約10~30倍となった。また, 多環芳香族炭化水素 (PAHs) の9H-フルオレン濃度とPCDFs濃度との相関係数は0.745と高い値になり, PCDFsの生成に9H-フルオレンが関与する可能性が明らかになった。そこで, ラボスケールで9H-フルオレンの燃焼実験を行った結果, 9H-フルオレンを添加した系でのみ9H-フルオレノン, ジベンゾフランが同定された。さらに, 9H-フルオレンあるいは9H-フルオレノンを添加して燃焼させた場合, 生成したPCDFsの濃度がこれらを加えなかった対照系の3~32倍に増大した。これにより, 9H-フルオレンが9H-フルオレノン, そしてジベンゾフランを生成し, これが塩素化されてPCDFsが生成するという経路が推定された。
著者関連情報
© 日本環境化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top