抄録
環境水中の内分泌撹乱物質による汚染は環境問題の重要な課題である。LC/MS/MSを用いた既存の分析方法をもとにエストラジオール類とその抱合体を同時に抽出する方法を検討し, その手法を用いて, 松山平野の河川水及び下水処理場放流水試料, 計11地点を分析した。分析結果, 今回の調査で検出されたエストロゲン様物質は, 3-E2, E1, E2-3S, E1-3S, BPA, BPB, BPS, TBBPA, 4-tert-OP及び4-NPであった。検出された化合物中で, 4-NPが最も高濃度 (2, 800ng/l) で検出され, 人工化学物質の生物への影響が懸念された。本研究で一般河川水中に10種の生物由来と人工汚染物質が確認され, これらを総合的に生物への影響評価を可能にする手法の開発が必要である。