環境化学
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神奈川県構築化学物質データベース「神奈川県化学物質安全情報提供システム」について
吉見 洋岡 敬一都田 光彦松本 徹西村 明夫
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1992 年 2 巻 2 号 p. 195-210

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抄録

いわゆるハイテクノロジーと言われている分野であるマイクロエレクトロニクス, 新素材, 生物工学は急速な発展を遂げつつあり, 神奈川県における産業構造も大きく変化しつつある。このことに伴い, 新たな化学物質による環境汚染が大きな問題となってきている。
化学物質による環境汚染を未然に防止する手段として化学物質使用事業所での自主管理体制の構築は最も有効なものの一つである。神奈川県では, 化学物質による環境汚染の現状に鑑み, 1991年4月化学物質使用事業所に対して自主管理体制を促すための指針を制定した。この指針によれば, 化学物質使用事業所は自主管理体制に必要な情報を収集・整理しなければならない。
化学物質関連の書籍や利用可能なデータベースは多く存在するが, それぞれはファクトデータ, 法規制または毒性等個々の分野には詳しいものの神奈川県が求める自主管理に必要なデータを一元的に揃えたものはなく, 事業所がデータを収集するのは非常に困難な状況にある。そこで, 神奈川県では1988年に自主管理体制の構築支援のためのデータベース作成を決め, 3か年余の検討の後, 1991年7月にサービスを開始した。
本データベースは化学物質の名称, 各種コード, 物理化学的性状, 事故事例, 毒性, 許容濃度, 処理方法, 化学式, 法規制, 用途, 環境調査結果等を含んでいる。また, 約5, 000物質を1995年までに登載することを目標にしている。本稿では, データベース構築の目的, 開発の経過, データの収集方法, データベース構造の特徴, 提供用コンピュータシステム, 運用方法, 検索結果の出力例及びデータベースに係る将来の問題を紹介する。

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