1992 年 2 巻 2 号 p. 187-193
大気中の揮発性有機化合物を常温吸着捕集してガスクロマトグラフ分析する場合, ガスクロマトグラフ試料側に2本のキャピラリーカラムを並列に接続し, それぞれのカラム出口側をFID及びECDに接続してFIDによる炭化水素や含酸素有機化合物の分析とECDによる有機塩素化合物を同時に分析する方法を検討した。キャリアーガスは窒素ガスよりも分離条件のよいヘリウムを用い, ECDには窒素ガスをメイクアップガスとして送入してECD分析を行った。カラムはFIDに内径0.31mm, 長さ50m, ECDに内径0.20mm, 長さ50mのものを取付けることにより, FIDとECDへの試料の分配比は約6: 1になり, 分析対象とする有機化合物の大気中の濃度レベルと検出器の感度とのバランスがよいことがわかった。
2本のカラムを並列に用いることにより, FIDとECD分析が同時に行うことができる利点がある他, カラム容量が2本分になるため, 加熱脱着による試料導入分析が容易になることがわかった。
本方法により, 塗装, 印刷などによる炭化水素や含酸素有機化合物と金属洗浄等による有機塩素化合物の発生源のある地域でのFID, ECD同時分析の測定例を示した。