抄録
大気中の3種のnon-ortho coplanar PCBs (Co-PCBs) の濃度を測定した。大気試料は, 1990年と1992年の夏期と冬期に福岡県の6~7地点にて, ハイボリウムエアーサンプラーにより補集した。大気中のCo-PCBs濃度は, 1990年では, 3, 3', 4, 4'-TCB, 3, 3', 4, 4', 5-PeCB及び3, 3', 4, 4', 5, 5-HxCBについて, それぞれN.D. (<0.01) ~2.03 (平均0.80) , 0.04~0.63 (平均0.22) 及び0.02~0.42pg/m3 (平均0.11pg/m3) であり, また1992年では, それぞれ0.07~2.3 (平均0.79) , 0.01~0.51 (平均0.20) 及びN.D. (<0.01) ~0.18 (平均0.07) pg/m3であった。1990年と1992年とで濃度に大きな差はなかった。季節による濃度の違いが1990年と1992年の両年に見られ3, 3', 4, 4'-TCBは, 夏期に, 3, 3', 4, 4', 5-PeCB及び3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCBは, 冬期に濃度が高い傾向にあった。また地域によって大気中濃度に多少の違いが見られた。同族体間の関係では, 3, 3', 4, 4', 5-PeCBと3, 3', 4, 4', 5, 5'-HxCBの間に高い相関性があったが, これらと3, 3', 4.4'-TCBとの間に相関性は見られなかった。2, 3, 7, 8-TCDD毒性等価換算濃度 (TEQ) は, 1990年では, 0.005~0.086pg (TEQ) /m3, 平均0.036pg (TEQ) /m3, 1992年では, 0.002~0.074pg (TEQ) /m3, 平均0.032pg (TEQ) /m3であった。全TEQに占める割合は, 3, 3', 4, 4', 5-PeCBが最も高く約62%であった。大気中Co-PCBsの毒性寄与は, ダイオキシン類と比較して低いと考えられるが, 焼却場からの排出の可能性が高いことから大気中のCo-PCBs濃度レベルを監視していくことは重要である。