環境化学
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大阪湾北港海面廃棄物埋立処分地におけるリン酸トリエステル類の濃度レベルと特徴
川越 保徳福永 勲
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1994 年 4 巻 4 号 p. 797-804

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抄録
大阪湾北港に造成された海面廃棄物埋立処分地の浸出余水及びその周辺海水を試料として, リン酸トリエステル類濃度を測定し, 知見を得た。一般廃棄物及びその焼却残滓の埋立区における浸出余水中より, 周辺海水の10~100倍に相当する濃度のリン酸トリエステルが検出され, 埋立物中に溶出源の存在が推察された。リン酸トリエステルの中では, TCEPが最も高い濃度レベルで検出されており, 0.4~30μg/lであった。その他は, TCPP, TEP, TBXP等が検出された。一方, 浚渫土砂及び陸上土砂埋立区の浸出余水では, 顕著な濃度で見られたリン酸トリエステルは無かった。浸出余水の様な極度な嫌気・還元状態では, リン酸トリエステル類の生分解は困難であることが推察された他, 比較的短時間の曝気処理では分解に対する効果は小さいことが分かった。浸出余水中のリン酸トリエステル類の濃度パターンは, 周辺外海水とは異なっており, 処分地浸出余水に特徴的である可能性が示唆された。一方, 周辺外海水については, その濃度パターンから, 処分地の近くにその河口がある淀川の影響を受けていると考えられた。
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© 日本環境化学会
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