環境化学
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ヘッドスペースGC/MSによる河川水中の揮発性有機化合物類のスクリーニング
田辺 顕子川田 邦明水戸部 英子坂井 正昭
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1997 年 7 巻 1 号 p. 69-79

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抄録
ヘッドスペースGC/MS法による河川水中のVOCスクリーニングを行うため, アルキルベンゼン類, 塩素化アルカン類, 塩素化アルケン類, 及び塩素化芳香族炭化水素類, 計53化合物を対象として, 分析条件を検討した。その結果, ヘッドスペース法において, 試料12mlに塩化ナトリウムを3.6g加え, バイアルを70℃で20分間加熱することにより, 最適な分析が可能であった。添加回収試験における回収率は90~113%, 相対標準偏差は10%以内と, いずれも良好な結果が得られ, 定量下限値は0.04~0.17μg・l-1であった。
本法により新潟県内の河川, 夏季19地点 (16河川) 及び冬季16地点 (13河川) においてVOCスクリーニング調査を行った結果, ベンゼン, sec-ブチルベンゼン, エチルベンゼン, イソプロピルベンゼン, n-プロピルベンゼン, スチレン, トルエン, 1, 2, 4-及び1, 3, 5-トリメチルベンゼン, o-, m-及びp-キシレン, 1, 1-及び1, 2-ジクロロエタン, cis-及びtraps-1, 2-ジクロロエタン, ジクロロメタン, 1, 2-ジクロロプロパン, テトラクロロエチレン, 1, 1, 1-及び1, 1, 2-トリクロロエタン, トリクロロエチレン, トリクロロメタン, クロロベンゼン, o-及びp-クロロトルエン, 1, 2-, 1, 3-及び1, 4-ジクロロベンゼンが0.04~30μg・l-1の濃度範囲で検出された。夏季と冬季を比較すると, 検出された化合物の数は冬季の方が多く, 特にトルエン, キシレン等のアルキルベンゼン類が多く検出された。さらに, 対象とした53化合物の他に2-クロロ-1, 3-ブタジエン, 酢酸メチル, 酢酸エチル, 及び4-メチル-2-ペンタノンが検出された。
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