環境化学
Online ISSN : 1882-5818
Print ISSN : 0917-2408
ISSN-L : 0917-2408
リン酸イオン及びアンモニウムイオンの凍結分離と氷結晶への吸着現象
田口 洋治安東 照喜岩見 禎昭郭 軍山口 東吾
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 8 巻 2 号 p. 251-258

詳細
抄録

湖沼中の脱リン, 脱窒処理の一助として, 水の凍結・融解によるそれらの分離除去の可能性について実験室的に検討した。最初に, リン酸イオンとアンモニウムイオンを含む溶液を凍結し, 溶解させ, 生成時の氷結晶中への両イオンの取り込み現象を観察した。溶解初期に流出する溶解液中でのそれらの濃度は高く, 氷結晶表面により多く濃縮していることが確認された。また, 氷結晶の生成速度を遅くすると, より高濃度の流出液が得られた。氷結晶を溶解する場合, 結晶を垂直円筒に充填し溶解すると, 流出液濃度が高くなり, 溶解方法により大きな差異が生ずることが確認された。
次に, 0℃近辺の溶液を用い, 純水で生成した氷結晶ヘリン酸とアンモニウムを吸着させたところ, アンモニウムよりリン酸の吸着速度が速く, 比較的大きな選択性が認められた。0.2から0.5℃の範囲で両イオンともよく吸着し, 10秒程度吸着させた時の吸着量が最大であった。吸着等温線はラングミュア型と推定された。

著者関連情報
© 日本環境化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top