285種の化学物質を対象に北九州市沿岸海域の調査を1年間行った。その結果, 次の結果を得た。 (1) 検出物質は, 12種の内分泌撹乱物質を含む179物質であり, その多くは, 廃棄物処分場浸出水からの検出物質と重複していた。 (2) 洞海湾の工場や下水処理場が, 主な化学物質発生源であり, その影響は関門海峡まで及んでいた。 (3) 洞海湾内の主要な汚染物質は, コークス製造工場が発生源と推定される多環芳香族炭化水素やクロロベンゼン類, 芳香族アミンなどの有機合成原料であった。 (4) 自動車由来と考えられる2-ニトロフェノールやベンゾチアゾール類が, 全域から高頻度に検出された。 (5) 検出農薬には, 用途別に高い相関が見られた。また, 過去に使用されたものが溶出したと考えられるHCHが検出された。