抄録
土壌浄化技術の一つであるエレクトロレメディエーションを用いて, 六価クロムを土壌中から除去する際の腐植物質及びその前駆体が及ぼす影響を検討した。腐植物質の及ぼす影響はエレクトロレメディエーションを施した後, 土壌中のクロムの分布より調査した。腐植物質が存在しないときはほとんどの六価クロムが電気泳動により正極槽に移動していた。しかし, 腐植物質が存在するときは負極槽への移動が見られるようになった。さらに, 腐植物質前駆体である没食子酸が存在するときは六価クロムは無毒な三価クロムの形態でほとんど負極槽に移動していた。従って, 六価クロムは没食子酸により還元され, 移動挙動を大きく変化させられると考えられる。