日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
症  例
ボリコナゾール(ブイフェンド®)内服中に発症した急速進行性多発性有棘細胞癌の2例
登根 純子森田 勝吉成 康橋爪 秀夫
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ジャーナル 認証あり

2016 年 10 巻 1 号 p. 29-34

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抄録
 症例1:78歳,男性。肺アスペルギルス症の診断でボリコナゾールを内服し,開始4ヵ月後に顔面に紅斑が出現した。内服4年8ヵ月後より急速に角化性紅斑局面となり有棘細胞癌と診断した。症例2:81歳,男性。肺アスペルギルス症の診断でボリコナゾールを内服し,開始1年6ヵ月後より露光部に角化性紅斑が出現した。内服3年9ヵ月後に強い角化性結節が増数し有棘細胞癌と診断した。2症例ともに切除術を施行したが,再発を繰り返し死亡した。
 近年,ボリコナゾール投与中に多発性有棘細胞癌が発症した症例が海外で相次いで報告され,本剤の関与が疑われている。ボリコナゾール内服中に急速に多発し,死の転帰をとった有棘細胞癌症例はわが国で初めての報告である。CYP2C19遺伝子多型は東洋人に高頻度で本剤の代謝遅延が指摘されている。本剤の光線過敏症発症は濃度依存性であることから,わが国における本剤の使用において注意すべきである。
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© 2016 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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