日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
症例
水溶性アルブミン画分に原因抗原の存在が疑われたスパゲッティ依存性運動誘発アナフィラキシーの1例
飯島 茂子津田 毅彦森山 達哉荻野 龍平横大路 智治松尾 裕彰
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2017 年 11 巻 3 号 p. 259-265

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抄録

 17歳, 男子高校生。冷凍スパゲッティによる小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの1例を報告した。アスピリン内服後にスパゲッティを摂取し運動負荷試験を行ったところ, 15分後にアナフィラキシー症状が出現したため, 確定診断とした。なお, パン食摂取後の自転車通学では症状は出なかった。小麦粉 (鳥居) のプリックテストは陽性, パン小麦 (薄力粉・強力粉) およびデュラム小麦粉を用いたプリックプリックテストは強陽性を示した。特異的IgE (ImmunoCAP®) は小麦陽性, グルテン・ω-5グリアジン・高分子量グルテニン陰性であった。パン小麦粉・デュラム小麦粉を用いたイムノブロット解析を行ったところ, デュラム小麦粉に40kDa付近, 50kDa付近, 60kDa付近, 28~30kDa付近のバンドを認めた。さらに, 小麦蛋白質を4画分に分けた解析では, おもに水溶性アルブミン画分に60kDa付近のバンドがみられ, これが自験例での原因抗原である可能性を考えた。

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© 2017 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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