2017 年 11 巻 3 号 p. 259-265
17歳, 男子高校生。冷凍スパゲッティによる小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの1例を報告した。アスピリン内服後にスパゲッティを摂取し運動負荷試験を行ったところ, 15分後にアナフィラキシー症状が出現したため, 確定診断とした。なお, パン食摂取後の自転車通学では症状は出なかった。小麦粉 (鳥居) のプリックテストは陽性, パン小麦 (薄力粉・強力粉) およびデュラム小麦粉を用いたプリックプリックテストは強陽性を示した。特異的IgE (ImmunoCAP®) は小麦陽性, グルテン・ω-5グリアジン・高分子量グルテニン陰性であった。パン小麦粉・デュラム小麦粉を用いたイムノブロット解析を行ったところ, デュラム小麦粉に40kDa付近, 50kDa付近, 60kDa付近, 28~30kDa付近のバンドを認めた。さらに, 小麦蛋白質を4画分に分けた解析では, おもに水溶性アルブミン画分に60kDa付近のバンドがみられ, これが自験例での原因抗原である可能性を考えた。