2017 年 11 巻 3 号 p. 254-258
87歳男性。気管支喘息の悪化があり, テオフィリン徐放錠が処方された。その後, 体幹に多形紅斑様皮疹が出現し, 徐々に浸潤を触れる紫紅色局面が癒合散在し, 一部環状局面を呈した。テオフィリン徐放錠によるinterstitial granulomatous drug reaction (IGDR) を疑い内服を中止したところ, 皮疹は消退した。病理組織学的に, 表皮真皮境界部に液状変性があり, 好酸球浸潤を伴っていた。詳細な薬剤テストは施行できなかったものの, テオフィリン徐放錠による苔癬型薬疹と診断した。テオフィリンによる薬疹の報告は少なく, 特に苔癬型薬疹をきたした例は, 自験例のほかは他剤との併用で生じた1例のみである。テオフィリンによる薬疹では, 特定の薬疹型を呈さず, 原因薬と疑われずに長期経過する可能性がある。また頻度は少ないものの, drug combinationで薬疹を生じる点も注意すべきと考えた。